研究課題/領域番号 |
26430178
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
飯塚 明 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (00463183)
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研究分担者 |
秋山 靖人 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (70222552)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / グリオーマ / マウスモデル / 変異抗原 |
研究実績の概要 |
当センターの脳腫瘍患者癌細胞についてIonProtonシーケンサーを用いエキソーム遺伝子変異解析を行った。IDH1遺伝子の特徴的な点変異が従来の報告同様に高い頻度で検出され、グリオーマの標的抗原、標的変異としては最も有望な組織特異的変異であると思われる。HLA-A24拘束性ペプチド配列予測プログラムとして、NetMHC 4.0 Serverおよび3次元構造データをもとに予測する in silico docking simulation assayを用い候補となる癌変異抗原エピトープのスクリーニングを行った結果、悪性グリオーマ患者の腫瘍細胞では、適応免疫系に癌抗原として認識される可能性のある癌変異エピトープ候補が複数見つかった。 癌変異抗原エピトープのペプチドを合成し、樹状細胞に取り込ませてワクチンとしてモデルマウスに投与する実験に先行して、モデルマウスにおいて移植した患者末梢血中の免疫細胞による癌細胞に対する抗原依存性の免疫応答が誘導されるかどうかを簡易的、網羅的に確かめるための予備実験を行った。高度免疫不全であるMHCダブルノックアウトNOGマウスに悪性グリオーマ細胞株U87細胞を移植し造腫瘍性があることを確認したのち、癌細胞と患者末梢血細胞の同時移植を行った。加えて、T細胞免疫応答抑制レセプターであるPD-1分子に対する阻害剤となる組換抗体を作成、投与し、T細胞依存性の造腫瘍抑制が起きているのかどうかの実験を行った。免疫組織染色による移植腫瘍内の浸潤リンパ球の変化を調べ、腫瘍組織での遺伝子発現の変化も併せて定量PCRにより検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
グリオーマ細胞株と患者末梢血の同時移植による造腫瘍性の検討は行えたが、実験に必要となる免疫不全マウスの確保数が少なかったため、抗原ペプチドと樹状細胞を用いたワクチンの実験用には十分な匹数を使用できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
初代培養株より同定した悪性グリオーマに特異的な腫瘍抗原および静岡がんセンターで行われている腫瘍の網羅的エキソーム解析と網羅的遺伝子発現解析により同定された癌変異抗原より、HLA-A24拘束性の抗原エピトープのペプチドを合成し、樹状細胞ワクチンの作成を行う。実際に上記の自家免疫療法マウスにワクチンを投与し、細胞障害性リンパ球の免疫応答や抗腫瘍効果を確認する。腫瘍免疫応答の検証実験に用いるワクチン製造のため、樹状細胞分化誘導のためのサイトカイン、変異ペプチド合成の費用、マウス購入費などが主な支出となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた実験が行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品の購入に使用する予定
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