研究課題
心筋における新たなN-WASP結合タンパク質としてAmph2を得た。Amph2との結合様式を調べる目的でN-WASPのPro-rich領域を欠いた変異体を用いたところ,Amph2との結合が起こらなかった。したがって,Amph2-N-WASPの結合はN-WASPのPro-rich領域を介していることが明らかになった。N-WASP-Nebl複合体形成においてもN-WASPのPro-rich領域を介するため,N-WASPとNeblの結合とAmph2との結合は競合的であると考えられる。そこでさらにBARドメインにおいて骨格筋における中心核病に関わる変異をAmph2に導入したところ,N-WASPとの結合が減少した。また,培養細胞内ではN-WASPとAmph2は細胞膜において特に共存する様子がライブセルイメージングにより観察された。これらの結果からAmph2による膜変形と協調してN-WASPとの結合が増強する可能性が示唆された。CFPとYFPをN-WASPのN末端とC末端にそれぞれ繋いだFRETバイオセンサーは観察時に蛍光が減弱していくことが明らかになったため,現状で最高の蛍光を発するシアンおよび黄色蛍光タンパク質であるmoxCelurean3およびmCitrineを用いて再構築している。一方,N-WASPの心筋特異的誘導性コンディショナルノックアウトマウスの作成を完了した。作成したマウス成体においてタモキシフェンを導入し,心臓発生に影響することなくN-WASPを心筋特異的にノックアウトしたところ,大動脈結紮術を行わずして3ヶ月ほどで心肥大が起こった。また,心室における心筋細胞径の短縮に対応して心筋壁も薄くなっており,さらに心筋壁には炎症や繊維化が起こっていた。したがって,N-WASPは心筋細胞の強度を維持するために働いており,筋原線維形成がそれを担う可能性が考えられた。
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J. Biol. Chem.
巻: 292 ページ: 3201-3212
10.1074/jbc.M116.763318.
http://life.s.chiba-u.jp/telab/