上皮成長因子受容体の天然変性C-末端ドメインのみ断片化した分子(EGFR-CT)を用いて試験管中1分子FRET計測実験をおこない、構造変化ダイナミクスの測定を試みた。イメージング実験では天然変性の構造揺らぎを直接捉えることができなかったが、FRET分布が溶液条件(イオン強度)に依存して変化することが分かった。そこで拡散分子のバースト計測により溶液条件への依存性を調べたところ、イオン強度より変性剤濃度に強く依存してFRETが変化する結果を得た。天然変性蛋白質では一般的に電荷相互作用が構造に影響すると考えられるが、EGFR-CTではむしろ局所的な2次構造形成が重要であることが明らかになった。
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