軟体動物頭足類は心臓を3個有している。1個は体心臓と呼ばれ、血液を全身に循環させる機能を担っており、脊椎動物の心臓と同様の役割を果たしている。他の2個は鰓心臓と呼ばれ、鰓に血液を送ることに特化した心臓である。このように特殊な心循環器系を有している頭足類において、体心臓、鰓心臓がどのように発生してくるのか、そのメカニズムは全く明らかにされていない。本研究では世界最小のイカであるヒメイカを用いて鰓心臓、体心臓の発生過程を調べた。脊椎動物の心臓特異的転写因子をヒメイカから単離し、発現様式を詳細に解析したところ、体心臓と鰓心臓は共通の心臓予定領域から発生してくる可能性が示唆された。
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