巣箱を福島県内に80個余り設置し、フクロウの繁殖への放射能の影響を調べた。フクロウは2~4μSv/hの高線量地域でも繁殖しており、巣箱利用率や産卵数、孵化率には空間線量との関係が見られなかった。巣箱周辺の土と比較して、獲物であるネズミ類のセシウム濃度は平均して半分以下であったが、フクロウの卵は土の10分の1程度の濃度で、ネズミ類と比べても低く、生態濃縮といえる現象は確認できなかった。しかしシジュウカラと比べると10倍ほど高く、鳥類としてはセシウム汚染に強くさらされており、その原因として腐食連鎖が疑われた。高汚染地域では雛の成長が悪く、抗酸化物質のカロテノイド量が低いなど悪影響も示唆された。
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