研究課題/領域番号 |
26450199
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
溝上 展也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00274522)
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研究分担者 |
作田 耕太郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10274523)
井上 昭夫 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (80304202)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 群状択伐 / 帯状択伐 / 針葉樹人工林 / 伐区サイズ / 伐区形状 |
研究実績の概要 |
多様な森づくりが世界的に指向されている一方で、大面積を一度に伐採・更新する「皆伐方式」が一般的である。本研究では、小面積の伐採面を分散させる「帯状・群状択伐方式」に着目し、どのような大きさ・形状の伐採面をいつ・どこに・どのように配置すればよいか?という問い答えることを目的とする。 本年度は、宮崎県椎葉村に設定している群状択伐試験地を対象に調査解析を進めた。調査対象地はスギとヒノキが植栽されており、それぞれ面積は0.1haである。各伐区全木に対し2014年6月に樹高、根元直径、胸高直径を計測した。2014年時で下木13年生、上木61年生である。 樹高・直径・成長量の説明変数として垂直的競争指数VCIを用いて保算木の影響をモデル化した。その際、保残木の方位を考慮しVCIを各方位に分けて算出した。モデルの結果を用いて伐区長10m~70mや伐区の形状を変化させて、シミュレーションを行った。 シミュレーションの結果、伐区サイズにおいてスギで2500m2以上、ヒノキでは900m2以上で樹高・直径・成長量が一定となることが分かった。形状は、両伐区ともに正方形において最も成長が良い結果となった。この結果より、群状択伐における伐区サイズについては樹種特性を考慮する必要があり、耐陰性の低いスギの方がヒノキよりも大きな伐区を設定する必要があることが分かった。 また、過密な針葉樹人工林の場合,林分密度とは無関係に単位面積あたり樹幹表面積合計が一定かつ上限となることを発見し,「樹幹表面積の保存則」と名付けた。この樹幹表面積合計は,単位土地面積に生存しうる生活細胞の量に比例することが予想される。今後,この上限値と帯状・群状複層林における樹幹表面積合計とを比較することにより,帯状・群状複層林において,より大きい樹幹表面積合計を保持できるのかという仮説を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画に従い、2007年に設定した群状択伐林の再測を着実に実施することができ、データ解析も順調に進んで、スギ、ヒノキに関する伐区サイズと伐区形状について有効な知見をえることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、宮崎県や大分県に設定している試験地の再測を行い長期的な傾向を明らかにする。また、帯状群状択伐施業が進んているカナダをはじめとする諸外国の同行について精査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は複数の調査地での調査を予定でしていたが、着実な結果とその後の展開を図るため、一つの調査地での調査・解析に絞り込んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度の調査結果を踏まえ、今年度は複数の調査地での調査を実行する。また、カナダ等の非皆伐施業の先進国での事例収集を実行する。
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