研究課題
多様な森づくりが世界的に指向されている一方で、大面積を一度に伐採・更新する「皆伐方式」が一般的である。本研究では、小面積の伐採面を分散させる「帯状・群状択伐方式」に着目し、そのような大きさ・形状の伐採面をどのように配置すればよいか、という問いに答えることを目的としている。本年度は、まず、大分県に設置している帯状択伐試験地のスギ・ヒノキ保残区、帯状伐採ーヒノキ植栽区、帯状伐採ー無植栽区の調査、再測を行った。ヒノキ植栽木の成長については、皆伐区の植栽木と帯状伐採区の植栽木が統一的に推定できる成長モデルを構築することができ、伐採強度に対して柔軟な成長予測が可能となった。無植栽区の植生動態モデルについては、昨年までのデータからさらに伐採後の経過年数が増したデータを追加することができ、より長期の植生成長(本数と平均樹高および上層木樹高)の推定が可能となった。スギ・ヒノキ保残区については、林縁に近いほど樹高、胸高直径が小さくなり、曲がりになる確率が高いことが分かったが、一斉林と比較すると、曲がりや枯死率には有意な差がなく、林木の形質は両者で同等あるといえた。さらに、スギ群状択伐林の長期的な成長予測が可能な成長モデルを構築し、森林レベルの面積を対象にモデルシミュレーションによって、回帰年(10,20、25年)と伐区面積(0.05,0.1, 0.2, 0.5ha)の検討を行った。その結果、高頻度(回帰年10年)で0.2haの伐区面積で群状択伐を実施することで、木材生産機能が維持された択伐林業が可能でであることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件)
Journal of Forest Research
巻: 22. ページ: 126-130
日本森林学会誌
巻: 99 ページ: 印刷中