研究課題
Caspr1がどのようなメカニズムでGBM細胞の移動・浸潤を制御するのかについてGBM細胞株T98Gを用いて検討を行った。昨年度,Caspr1の発現量とMMP-9の発現量が負に相関するという結果が得られたので,MMP-9の上流シグナルの探索を行うために,本年度はMMP-9の上流因子として多数報告のあるMAPK(ERK,JNK,p38)の関与について検討を行った。Caspr1をノックダウンし,MAPKの活性化(リン酸化)の変化についてWestern-blot法を用いて調べたところ,ERK, p38のリン酸化は変わらなかったが,JNKのリン酸化が亢進した。そこで,JNK阻害剤であるSP600125を用いて,Caspr1ノックダウンによるMMP-9発現増加および細胞移動・浸潤亢進が抑制されるかを調べたところ,抑制された。このことから,T98G細胞においてCaspr1ノックダウンによる移動・浸潤亢進にJNK/MMP-9シグナルが関与していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究計画に基づき,Caspr1ノックダウンによりグリオブラストーマ細胞の浸潤・移動が亢進するメカニズムについて解析を行い,新たなデータを得ることができた。また,グリオーマ患者脳における免疫組織学的手法を用いたCaspr1の発現と病態への関連性については,実験に着手しており,達成度はおおむね順調であると考えている。
初年度に引き続き,本年度もCaspr1の浸潤・移動解析を中心に研究を実施した。3年目は,グリオーマ患者におけるCaspr1の発現についての検討を進めていく。また,移動・浸潤機構において今回得られたJNK/MMP-9シグナル以外の関与についてもEMTなどを含め検討していく。さらに,テモゾロミドなどの抗がん剤に対する耐性にCaspr1が関与しているかについて検討し,Caspr1の発現調節機構についてプロモーター解析を行う予定である。
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