エストロゲン受容体は脳内の神経細胞、あるいはミクログリアに発現し、その活性を制御している。また、脳内のアロマターゼによって変換される神経ステロイドが脳の発生・発達に関与している。本研究課題では、エストロゲン産生酵素の発現を調節するSF-1が大脳皮質に発現し、脳由来のエストロゲンが神経細胞の増殖や分化、移動を制御していることを示した。さらに、エストロゲン様作用をもつ化学物質の胎児期曝露による毒性を評価し、視床下部の組織構築の異常と炎症を伴うミクログリアの増加を検出した。つまり、エストロゲンは神経細胞あるいはミクログリアに作用することで脳の適切な発生・発達に寄与していることを明らかにした。
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