神経細胞は脳の基本単位であり、グリア細胞と血管に囲まれた骨格の中に局在する。またその間隙は組織液で満たされており微小周囲環境からの情報も受容する。本研究では、その様な外部環境変化の受容機構、また受容後の細胞内情報伝達機構、そしてアウトプットとしての細胞移動に焦点をあて、神経発生において一次繊毛が重要な役割を担っていることを明らかにした。具体的にはMHCというホルモンによって繊毛長の調節が行なわれ、それはcAMPを介して繊毛それ自身の短縮を引き起こし、これが細胞移動や分化と関係することを示唆するデータを得た。この結果は今後様々な神経疾患の病態解明の基礎データとして寄与するものと考えられる。
|