RECKタンパク質は、多くの腫瘍で発現低下しており、がん転移・再発を抑制すると考えられている。一方、RECK欠損マウスは、血管発生の停止をきたし、胎生中期頃に死亡する。このため、RECKの生理機能解明は、血管障害と共にがん悪性化の機序解明にもつながるものと期待される。今回、我々は、血管を形成する2種の細胞(内皮と壁)におけるRECKの役割を、遺伝子改変マウスおよび組織片培養系を用いて解析した。その結果、壁細胞RECKは胎生中期の心血管発生、内皮細胞RECKは胎生後期の脳血管発生に必須であること、また、RECKは、これら2種類の細胞の緊密な相互作用を助け血管安定化をもたらす可能性が示された。
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