研究課題
乳癌にはエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体の発現およびHER2遺伝子の増幅のないtriple-ngative breast cancerといわれる群があり、分子標的治療の模索が行われている。METも標的遺伝子の一つとして注目されている背景があり、今回、われわれは84例のtriple-negative breast cancerについてcopy number assayを行ってMETの遺伝子増幅の有無を調べた。結果としては増幅例がなかったため、さらに再発時に二次的にtriple-negativeとなった症例5例を追加したところ、5例中1例で増幅が見られた。この結果をFISHで確認した。免疫染色ではMET陽性例が一部にあること、Public databaseの解析でも遺伝子増幅はないが、mRNAの発現が高い症例があるという点でわれわれと同様であることが明らかとなったため、自験例と解析結果をまとめて現在論文として投稿中である。また、以前にわれわれは卵巣の明細胞腺癌においてMETの遺伝子増幅が見られることを報告したので、同様の組織所見を呈する子宮内膜の明細胞腺癌についてもMET遺伝子の解析を行ったところ、12例中2例で増幅が見られた。本結果をFISHで確認するとともに臨床病理的解析を行い、現在論文として投稿中である。この結果からわれわれは卵巣と子宮内膜の明細胞癌ではMETの標的治療が有効であろうと考え、さらに、METの遺伝子増幅を有する卵巣明細胞腺癌の細胞株をヌードマウスに移植する実験を行っているが、移植後の生着が予想よりも困難であったため、現在移植条件を模索している段階である。
3: やや遅れている
以前にまとめた論文と同様の解析を他の症例で行うことによって比較的スムーズに結果を得ることができたが、論文の投稿や審査がやや遅れている。また、動物実験については上述の通り腫瘍細胞の移植が困難であり、全体に進行が遅れている。
腫瘍細胞の移植方法を改良して動物実験を進める。
動物実験の進捗が遅れたため。
動物実験を進める。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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