研究課題
類上皮肉腫(ES)は近位型(P-ES)と古典型(C-ES)に分類され、SMARCB1/INI1(INI1)の欠失が認められる代表的な腫瘍である。しかし、P-ESの0-25%、C-ESの7-11%でINI1発現が保たれていることが報告されている。今回、P-ES 29例、C-ES 32例でINI1発現状況を確認の上、INI1発現が保たれている症例に関して、SWI/SNF型クロマチンリモデリング因子複合体のcore subunitであるBRG1、BAF155、BAF170発現を検討した。まず、INI1蛋白発現はP-ES 6例(21%)、C-ES 3例(9%)で保たれていた。それらのうち、免疫染色を施行できるP-ES 6例、C-ES 1例に関して更なる検討を行ったところ、P-ESの6例中4例(BAF170のみ欠失 1例、BRG1のみ欠失 2例、BRG1モザイク・BAF155欠失 1例)、C-ESは1例中1例(BAF170のみ欠失)でcore subunit蛋白発現異常を認めた。以上の所見より、類上皮肉腫の発生には、SWI/SNF型クロマチンリモデリング因子複合体の異常が深く関与している可能性が考えられた。
2: おおむね順調に進展している
代表的なSMARCB1/INI1発現である類上皮肉腫に関しては、SWI/SNF型クロマチンリモデリング因子複合体が腫瘍発生に深く関与していることが判明した。今年度の解析は、前年度の解析症例(SMARCB1/INI1欠失症例)を補完するものであり、おおむね順調に進展していると考えている。
クロマチンリモデリング因子が直接的な腫瘍発生にかかわることは今までの研究で明らかになったが、がんの肉腫様変化にも関与している可能性が考えられる。仮にそういった症例でクロマチンリモデリング因子異常を認めれば、新たな治療標的となる可能性もあり、更なる展開が考えられる。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Virchows Arch.
巻: 468 ページ: 357-367
10.1007/s00428-015-1885-6.
Cancer Sci.
巻: 107 ページ: 95-102
10.1111/cas.12846.
Hum Pathol.
巻: 46 ページ: 1257-66
10.1016/j.humpath.2015.05.023.
World J Gastroenterol.
巻: 21 ページ: 2700-10
10.3748/wjg.v21.i9.2700.
Cancer Chemother Pharmacol.
巻: 75 ページ: 829-35
10.1007/s00280-015-2706-y.