血管肉腫細胞はスフィンゴシン-1-リン酸受容体1(S1PR1)を高発現しており,S1PR1の機能的アンタゴニストであるphospho-FTY720は,血清中でもS1PR1を内在化・分解することで,血管肉腫細胞のS1Pおよび血清への細胞走化性や細胞遊走が抑制された。血管肉腫症例では,S1PR1とスフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)が高発現しており,STAT3活性化との関連性がみられた。したがって,血管肉腫では,SPHK1/S1P/S1PR1/STAT3のオートクラインループが腫瘍細胞の恒常的な細胞運動の亢進をもたらすこと,また,FTY720の投与が腫瘍の転移を抑える可能性が示唆された。
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