研究課題
本研究はHIV-1感染伝播における樹状細胞の役割についてヒト化マウスモデルで明らかにすることを目的とした。これまで我々は、重度免疫不全NOD/SCID/Jak3 nullマウスにヒト臍帯血由来造血幹細胞を移植することによりヒト化マウスを作出するシステムを構築しており、H27年度までの成果として、このように作出したヒト化マウスにヒト由来サイトカインであるGM-CSFおよびFlt3-Lの発現プラスミドをin vivo transfection法により導入することで、樹状細胞を含めた骨髄系細胞の分化を向上させることが可能となった。そして、このようなヒト化マウスにHIV-1を感染させた結果、ウイルス接種前の末梢血CD14+単球数とウイルス接種後1週目の血中ウイルス量との間に正の相関が認められた。そこでH28年度は、各樹状細胞亜集団ならびにT細胞亜集団の性状に及ぼすサイトカイン導入の影響について解析を行った。プラスミド導入後10日の脾臓について解析した結果、全ての樹状細胞亜集団(BDCA-1+ MDC1、BDCA-3+ MDC2、CD123+ pDC)におけるCD40, CD80, CD86, CXCR4の発現上昇ならびにCCR5の発現低下が認められ、サイトカイン導入により成熟が進行することが示された。また、T細胞亜集団についてはCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞ともにセントラルメモリー型のフェノタイプを示す細胞集団の頻度上昇が認められ、特にCD4+ T細胞についてはFoxp3+細胞集団の顕著な分化誘導が認められた。以上の結果は、ヒト化マウスをHIV-1感染モデルとして適用させる際の重要な基礎知見である。
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Sci. Rep.
巻: 7 ページ: 1283
10.1038/s41598-017-01372-5
Front. Microbiol.
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