日本人の高齢者に特有で頻度が高い浴槽内における溺死例について、サ-ファクタントを指標として、血液生化学検査と、形態学的検査の両面から新しい剖検診断法の開発を試みた。 左心血、右心血、大腿動・静脈血中のサーファクタントプロテインA(SP-A)、サーファクタントプロテインD(SP-D)濃度を比較したところ、SP-A、Dともに溺死例では左心血中の濃度が右心血中の濃度より高値を示す傾向が認められた。諸臓器に対する抗サーファクタントアポプロテインA抗体を用いた免疫染色では、有意の所見は認められないように思われた。 ただし、現時点では予備的な研究の段階であり、今後さらにデータの蓄積が必要である。
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