本検討は、バレット食道を背景とする腺癌の発生におけるNotchシグナルの役割を明らかにすることを目的として行った。バレット食道においてはCdx2によるNotchシグナルの抑制により腸上皮化生の誘導を来すが、バレット腺癌においては、Notchシグナルの下流のHes-1の発現亢進を認めた。バレット腺癌細胞株においてもHes-1の発現亢進とCdx2の発現低下を認め、増殖抑制因子であるP27kip1が抑制されていた。腺癌組織において、上皮間葉移行関連因子の発現亢進を認め、Hes-1の発現と関連した。これらの結果から、バレット食道の発癌・進展にはHes-1の発現亢進が重要な役割を果たすことが示された。
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