胃癌の発症と内臓、皮下脂肪組織の増加を基盤とする肥満との関連が示唆されている。胃癌は粘膜内で発生し、粘膜下層→ 筋層 → 漿膜下層へと浸潤し、癌性腹膜炎に進展する。一方、胃粘膜下層、漿膜下層、腹腔内には脂肪組織が存在する。さらに、脂肪組織由来脂質が癌細胞に脂肪滴として取り込まれ、癌細胞の細胞動態に影響することが示唆されている。それ故に、脂肪組織が胃癌の細胞動態に活発に影響していると予想される。しかし、内臓及び皮下脂肪組織が胃癌細胞に与える影響を解析した研究は国内外にはなく、その詳細は不明である。本研究では、胃癌細胞の生存、増殖、浸潤、脂肪滴沈着における脂肪組織の役割とその制御機構を解明する。
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