研究課題/領域番号 |
26461065
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30293632)
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研究分担者 |
漆田 毅 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20334980)
林 秀晴 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50135258)
早乙女 雅夫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (70509512)
加藤 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80314029)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不飽和脂肪酸 / 心筋細胞 / 冠動脈疾患 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
1. 培養心筋細胞における活性酸素種、飽和脂肪酸負荷によるmitochondria 機能障害とinsulin 抵抗性に及ぼすω-3 PUFA の保護効果 【方法】ウシ血清培養による分化H9c2 細胞を使用する。飽和脂肪酸のパルミチン酸 (PAL: 400 uM、24hr)を加えて培養する。エイコサペンタイン酸(EPA: 50 uM)は、PALと同時に投与する。Mitochondria 形態と膜電位は、蛍光色素のNile-red、JC-10 を負荷し、レーザー顕微鏡にて蛍光強度を測定して評価する。【結果】分化H9c2細胞がPALに暴露されると、caspase3/7が活性化され、脂肪毒性が示された。PAL処理心筋細胞は、dynamin-related protein 1 (Drp1)の増加とmitochondriaの細分化、膜電位の脱分極認め、mitochondriaの動態変化と機能障害を示唆した。PAL処理細胞にEPAを付加すると、caspase 3/7は減少し、Drp1の発現とmitochondria細分化は低下し、膜電位は保持された。EPAの単独はまた、mitochondriaの延長とDrp1の減少をきたした。EPAはAMPKを活性化しており、AMPK活性化剤(AICAR)よってもEPAと同様の抑制効果が得られた。【結論】EPAはAMPKを介してPALによるDrp1の増加とmitochondria動態を抑制し、脂肪毒性を軽減させる可能性がある。 2. 冠動脈疾患症例における脂質分画と魚摂取習慣の関連性の検討 【方法】外来通院中の冠動脈疾患患者143名において、脂質、糖質を測定し、魚摂取習慣により計測値を比較した。【結果】魚摂取習慣3回/週以上の患者は、3回/週未満の症例に比較して、EPA, DHA値、EPA/AA比が高く、αリノール酸値が低かった(EPA: 79.6±44.3対57.8±38.9g/ml、DHA:137.1±50.6対118.9±33.4g/ml、EPA/AA: 0.50±0.260.34±0.20, p<0.01)。【結論】魚摂取習慣により脂質分画に差がみられることが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究において、PALの脂肪毒性に対するEPAの保護効果の研究をほぼ終えている。Western blottingによる細胞内インスリン信号の検討、ドコサヘキサエン酸(DHA)の効果についての検討も順調に進んでいる。臨床研究では、患者の登録、割り付け、EPA, DHA製剤投与前の血圧、心拍数、脂質プロファイル、サイトカイン、心機能などの測定を終えている。
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究では、EPA, DHAの培養細胞における効果の研究をさらに進めるとともに、灌流心の心機能における効果を研究する。臨床研究では、低EPA/AA患者群においてEPA製剤、EPA+ DHA製剤の6か月以上の投与による、脂質プロファイル、サイトカイン、心機能の変化を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎研究で使用する細胞培養機器、蛍光色素、western blotting用薬品、灌流実験で使用する実験動物、Langendorff装置、薬品のが必要である。臨床研究は、可能な限り保険診療の範囲内で行う。
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次年度使用額の使用計画 |
細胞培養機器、蛍光色素、western blotting用薬品、灌流実験で使用する実験動物、Langendorff装置、薬品を購入する。また、臨床研究の解析に必要なコンピュータソフトの購入を行う。
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