特発性心筋症は、その原因となる遺伝子異常や発症機序が明らかにされ、その病態が明らかになりつつある。一方で治療方法は薬物療法や機械的補助といった対症療法に限られていた。本研究では、遺伝性拡張型心筋症を呈するマウスモデルを対象に、遺伝子異常により不足する正常タンパク質をメッセンジャーRNAを補充することにより補うという原因療法を試み、特発性心筋症治療法に新たな活路を見出すことを目的とした。投与するメッセンジャーRNAの生合成や有効な投与経路の開発に予想より長時間を要したが、約2年をかけてこれを確立し、現在も治療効果を判定するための投与実験を継続して行なっている。
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