研究課題/領域番号 |
26461192
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 朋子 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10400342)
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研究分担者 |
棟方 充 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00209991)
谷野 功典 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10443863)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特発性肺線維症急性増悪 / PAR-2アンタゴニスト |
研究実績の概要 |
特発性肺線維症(IPF)急性増悪の機序を解明し治療に結びつけるべく、H23-26年度基盤研究C「protease-activated receptor(PAR)-2制御によるIPF急性増悪の新規治療法の探求」の基礎実験データをもとに、H26年からは、「PAR-2アンタゴニストはIPF急性増悪新規治療薬になりうるか?」というテーマで研究を進めている。 動物実験の準備の準備に時間がかかり研究は遅れていたが、本年度はようやく動物実験を開始することができた。 ブレオマイシンによる刺激は、肺に間質性肺炎を起こし肺線維症のモデルとして知られている。マウスにブレオマイシンを経気管的に投与した群と、ブレオマイシン投与かつPAR-2阻害ペプチドを経鼻的に吸入させた群を比較したところ、3日、7日、14日とも気管支肺胞洗浄(BAL)液中のリンパ球の数を有意に減少させることが分かった。また、肺組織のTGF-βやMCP1などの発現も抑えられることがreal time PCRにて示された。さらに、in vitroで得られていたPAR-2活性によるE-cadherinの抑制、Vimentinの増加が、ブレオマイシンモデル肺でも同様に認められたが、PAR-2アンタゴニストはそれを抑制することも示された。これらの変化はPAR-2阻害剤のみ投与したマウス群では見られなかった。以上の結果から、PAR-2アンタゴニストはブレオマイシンによる間質性肺炎を抑制することが示唆された。 臨床データの活用面では、肺線維症急性増悪患者のBAL液を用い肺内でPAR-2がどれだけ活性化されているかを調べるためにcompetitive ELISA用のcleaved PAR-2 抗ペプチド抗体を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
常勤施設に動物実験施設がないため、福島県立医大本学での動物実験となる。そのための手続きなど思いのほか時間がかかったことが主な要因と思われる。 また、臨床検体を使用した研究に関しては、competitive ELISA用のcleaved PAR-2 抗ペプチド抗体作製にも数カ月の時間を要したことも一因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
期限を1年間延長させていただき、実験を継続する。 1.動物実験:ブレオマイシンマウスモデルにPAR-2阻害ペプチドを吸入させ、どのような機序で炎症を抑えるのか、機序を探る。さらに、PAR-2ノックアウトマウスを用い得られたデータをさらに確認する予定である。 2.臨床検体を用い、肺線維症急性増悪にPAR-2が関わっているという確証を得る。 現在、臨床検体を使用するに当たり倫理委員会の承認を受けるべく準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が遅れていたために、当初H26-28年度までの予定であったものを、H29年まで1年延長させていただいた。そのため、最終年度となる本年度にすべての実験を終了すべく邁進中である。 実験が遅れている理由としては、常勤施設に動物実験施設がないため、福島県立医大本学での動物実験となる。そのための手続きなど思いのほか時間がかかったことが主な要因と思われる。また、臨床検体を使用した研究に関しては、competitive ELISA用のcleaved PAR-2 抗ペプチド抗体作製にも数カ月の時間を要したことも一因となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験に関しては、PAR-2ノックアウトマウスの購入、PAR-2阻害ペプチドの購入、またTGF-β測定キットやcollagenの定量などに使用する予定である。 臨床検体を用いた実験では、competitive ELISAに使用する試薬等を購入する予定である。
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