研究課題
本研究の目的は、肥満時に肝臓から分泌されるサイトカインLect2タンパク質が、インスリン作用に影響を与え、骨代謝を制御しているという仮説を証明し、これに基づいた新しい骨粗鬆症治療法開発の基盤を構築することである。具体的にはLect2ノックアウトマウスで引き起こされる骨粗鬆症が、どのような分子メカニズムで起るのかを明確にすることを目的としている。種々の臓器から分泌されるタンパク質よって骨代謝が影響を受けることが最近知られるようになってきた。肝臓からの分泌タンパク質が骨代謝に影響を与えるという報告もされてきている。マウスに高脂肪食を食べさせると肝臓でのLect2発現が増加し、血中でのタンパク質濃度も高くなる。Lect2ノックアウトマウスは、野生型マウスに比べ骨量が減少しているが、高脂肪食を与え肥満状態にすると骨量の差はさらに大きくなった。また、Lect2は老化により減少し、老化による骨量減少と相関があった。この骨量の減少は、血中の破骨細胞活性化マーカー、TRAP5bがLect2ノックアウトマウスで上昇していたことから(骨芽細胞活性化マーカー、Type I collagenは血中濃度に有意な差はなかった)、Lect2が破骨細胞を抑制していることが原因と考えられた。実際、破骨細胞の前駆体マクロファージにLect2を添加すると破骨細胞への分化が抑制された。破骨細胞分化シグナル、NFATc1、cfos、PGC-1βの発現抑制、ERKのリン酸化の抑制に加えて、炎症マーカー遺伝子の発現も増えていた。また形態的にも樹状細胞様の突起が増え、そのマーカー遺伝子の発現も増加していた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
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