• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

関節リウマチを標的とした抗原特異的新規治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26461462
研究機関東京大学

研究代表者

庄田 宏文  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20529036)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード関節リウマチ / T細胞受容体 / BiP / 制御性T細胞
研究実績の概要

関節リウマチ患者における自己抗原特異的CD4陽性T細胞の関与の解明および治療応用を目的として、患者末梢血・関節滑膜におけるHLA-DR4拘束性T細胞受容体のレパトア解析、抗原特異的T細胞の表現型の解析を行っている。関節リウマチにおける自己抗原であるBiPに着目し、BiP特異的CD4陽性T細胞の同定を進めた。BiP336-355エピトープ特異的T細胞によるIL-17に代表される炎症性サイトカイン産生は関節リウマチ患者で亢進していた。この反応は健常人にはみられなかった。一方、BiP456-475エピトープ特異的T細胞はIL-10依存的に炎症性サイトカイン分泌を抑制し、BiPに対する自己免疫応答がエピトープレベルでのバランス異常に起因する可能性が示唆された。またBiP456-475エピトープはマウス関節炎モデルの重症度を抑制し、制御性T細胞を誘導することを証明し、治療応用の可能性が考慮された。
関節リウマチ患者における末梢血、関節T細胞受容体(TCR)レパトア解析については、MiSeqを用いたNGS解析の条件検討を行っている。2サンプルのパイロット解析では、CXCR4陰性CD4陽性細胞群におけるTCRレパトア多様性の減少および関節TCRレパトアとの類似性が示唆された。現在関節リウマチ患者より細胞収集、ライブラリ作成を行っており、数十名規模での解析を準備中である。またシングルセルレベルでのTCR解析とNGS解析を並行して2例の患者で行い、関節リウマチにおけるTCRレパトアの減少を確認した。また増殖しているクローンのシングルセルにおける遺伝子発現解析ではGZMB, TBX21, IFNGamma, CXCR4, CD5発現が亢進していることを同定し、これらの遺伝子制御による関節リウマチ治療の可能性について推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度の目標としてHLA-DR4陽性RA患者における末梢血、関節滑膜CD4陽性T細胞のTCRレパトア解析、dominant cloneの同定と表現型解析を挙げた。BiP特異的T細胞解析については英文誌に掲載され、dominant cloneの同定と表現型解析についても現在投稿中である。NGSによるTCRレパトア解析については方法はほぼ確立し、検体数を増やした解析を準備中である。

今後の研究の推進方策

関節リウマチにおけるTCRレパトア解析をNGSによりhigh throughputの系で行う。CD4陽性T細胞の亜分画におけるTCRレパトア解析を数十例で行い、臨床指標との相関、治療による変化を確認することで、TCRレパトアの関節リウマチ病態における重要性を明らかとする。同時に新しい系でもあり、PCRバイアスなどの影響について把握するために、事前にクローンの頻度がわかっているサンプルを用いてTCRレパトア解析する予定である。また関節リウマチ患者におけるdominant clonesを同定し、頻度、分布を調べるとともに、その抗原特異性の解析のためレトロウイルスによるTCR遺伝子導入系を確立させる。
BiPに関しては、BiP336-355特異的T細胞がなぜ関節リウマチ患者で増加するかが不明な点であった。我々はBiP配列が原核生物より種を越えて保存されていることに着目し、微生物由来のBiP(DNAK)における類似配列を同定した。この微生物由来ペプチドに対する関節リウマチ患者T細胞の反応性を検討することで、エピトープレベルでの分子相同性による自己免疫異常の誘導メカニズムについての解析が進むと考えており、検討を行っている。

次年度使用額が生じた理由

試薬代の節約により、残額が発生した。

次年度使用額の使用計画

継続課題の遂行に必要な試薬代として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Autoantigen BiP-derived HLA-DR4 epitopes differentially recognized by effector and regulatory T cells in rheumatoid arthritis.2015

    • 著者名/発表者名
      Shoda H, Fujio K, Sakurai K, Ishigaki K, Nagafuchi Y, Shibuya M, Sumitomo S, Okamura T, Yamamoto K.
    • 雑誌名

      Arthritis Rheumatology

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1002/art.39054

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi