研究課題
関節リウマチ(Rheumatoid arthritis, RA)患者における自己抗原特異的Cd4陽性T細胞の病態における関与、治療への応用について研究を行った。自己抗原BiP由来の新規エピトープ探索については、HLA-DR上に提示されるペプチド配列の予測アルゴリズムを用いることで、HLA-DRB1*0405 epitopeとしてBiP6-21配列を同定した。この配列はシグナルペプチドに含まれ、疎水性に富む配列である。BiP6-21によりRA患者PBMCよりIL-10産生が強く誘導され、RAの病勢と逆相関した。このペプチド内服によるマウス関節炎モデル(collagen-induced arthritis)を用いて治療実験を行ったが、関節炎の軽減は明らかではなかった。RA患者の末梢血CD4陽性T細胞受容体(TCR)レパトアの高速シークエンサーによる解析では、RA患者においてはHLA-DRB1*0405アレルの有無によりTCRレパトアの多様性が影響され、HLA-DRB1*0405陽性患者において有意にメモリーT細胞におけるTCRレパトアの多様性が低下していた。TCRレパトアの多様性は関節炎の活動性とも相関がみられたが、多変量解析では病勢とHLA-DRB1*0405は独立にTCRレパトア多様性の低下との関連がみられた。TCRレパトア多様性は自己抗体(RF, ACPA, anti-BiP抗体)との相関はみられなかった。また血清サイトカインとの関連ではIL-2がTCRレパトア多様性の増加と有意に相関しており、RAにおけるTCRレパトアの形成においては、抗原提示による経路とサイトカインによる経路が異なる役割を果たしている可能性が示唆された。
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