研究課題
臨床的現場では、肺炎マイコプラズマ(Mp)肺炎は慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary disease (COPD)を増悪させる原因の一つと考えられている。そこで、我々は、両者に共通するメカニズムがあると考え、肺炎マイコプラズマ肺炎とCOPDのマウスモデルを作出し解析してきた。その結果、両者に共通する分子として、IL-17の関与が想定された。そこで、細胞系の研究と動物モデルを用いた以下の研究を立案した。(1)細胞系を用いて、細菌のpathogenを用いて、IL-17発現がどのように変化するかを検討する。(2)喫煙曝露モデルマウスで、どのようにIL-17の発現が変化するかを検討する。また、遺伝子改変マウスを用いて検討する。平成26年度の成果では、(1)細胞系を用いた研究 グラム陰性桿菌由来のフラジェリンはMp肺炎と同様にCOPDの悪化をもたらす。フラジェリンの抽出液を気道上皮由来の培養細胞に投与したところ、CXCL-8/IL-8が誘導されることが分かった。CXCL-8/IL-9は好中球性炎症を誘導するため、フラジェリンも好中球の肺胞への遊走を誘導する可能性が示唆された。本細胞系を用いて、IL-17の発現についての評価方法につき確立、検討する予定である。 (2)動物モデルを用いた研究 IL-17はAからFのsubtypeがあり、また、肺胞気管支洗浄液での測定が困難であるが、IL-17遺伝子置換マウスの解析を行うことにより、新たな知見が得られる可能性が示唆された。 本研究では、COPDモデルマウス解析方法の確立とIL-17マウスでの研究実施、が必要と考えられた。平成26年度は、この一環として曝露期間を従来の12日から24週へと延長し、さらに、解析方法として肺胞のサイズを評価する方法を確立した。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度は、細胞系の実験で予想した結果が得られた。また、長期曝露、すたわち24週間喫煙曝露の実験系も確立された。購入したコンピュータにおける画像解析と統計解析により、肺胞のサイズの評価も可能となった。以上の通り、大きな進歩と考えられる。
平成27年度以降は、下記の通り計画をする。(1)IL-17A/F遺伝子欠損マウスを用いて、短期曝露および長期曝露を行う。(2)上記マウスの遺伝子発現等を検討する。(3)肺胞のサイズの評価等を通して長期曝露の効果も検討する。以上を通じ、喫煙曝露による慢性炎症へIL-17が及ぼす影響を明らかにし、また、短期あるいは、長期のどの部分で影響するかを検討する。
平成26年度は研究代表者の所属機関変更があった。研究は遂行中であるが、新しい所属機関での実験系の立ち上げ等の関係で実験の順序を変更したため。
平成27年度以降も計画通り研究を遂行する。(1)IL-17A/F遺伝子欠損マウスを用いて、短期曝露および長期曝露を行う。(2)上記マウスの遺伝子発現等を検討する。(3)肺胞のサイズの評価等を通して長期曝露の効果も検討する。以上を通じ、喫煙曝露による慢性炎症へIL-17が及ぼす影響を明らかにし、また、短期あるいは、長期のどの部分で影響するかを検討する。
すべて 2014
すべて 学会発表 (1件)