研究課題
本研究では、クライオパイリン関連周期熱症候群(CAPS)発症機序の分子生物学的な解明を一義的な目的とする。特にヒトCAPS患者で同定されるNLRP3の遺伝子変異は、その遺伝子型に応じてCAPSが発症した際の重症度をおおまかに規定しているとされる。これらの分子基盤の解明のため、NLRP3リコンビナントタンパク(野生型・変異型)の発現・精製を本研究の第一の目的とした。H26年度は、NLRP3分子のリコンビナントタンパクの発現系を、昆虫細胞発現系を利用して構築することを試みた。昆虫細胞用発現ベクターpFastBac1に全長、3種類のLRRドメイン欠失型(ΔLRR)の遺伝子コンストラクトをそれぞれ組み込んだものを作成し、Bacmid DNAを作成。さらにこれらをSF9細胞に感染させたところ、NLRP3全長及びLRRドメイン欠失型はタンパクの発現が確認された。しかし非常に少量のタンパクしか発現せず、かつ不溶性であった。次いで、カイコを使用したタンパク発現系を利用して上記タンパク群の発現精製を試みたところ、カイコ脂肪組織中からNLRP3タンパクを抽出することができなかった。NLRP3と相同性の高い分子であるNLRC4のタンパク立体構造が2014年に報告されているが、NLRC4タンパク発現はN末端のPyrinドメインを欠失させたコンストラクト(ΔPYD)で作成されていた。この情報を元にH27年度は発現コンストラクトの最適化を目的とし、NLRP3ΔPYDのコンストラクトを3種類設計し、SF9細胞に感染させ、タンパク発現を試みた。NLRP3ΔPYDはいずれもSF9細胞内に発現が確認されたが、やはり不溶性で機能実験、構造解析に使用可能な可溶性タンパクとしては回収が困難であった。H28年度は、可溶性ドメイン分子を融合した形のコンストラクトを作成し、タンパク発現系の構築を試みる予定である。
3: やや遅れている
Native配列のNLRP3では、リコンビナントタンパクとして精製する場合、タンパクの不溶性が課題である。
NLRP3のNative配列に可溶性ドメイン分子を融合した形のコンストラクトを作成し、タンパク発現系の構築を試みる予定である。
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