川崎病は小児の原因不明の血管炎として知られ、とくに冠動脈は同血管炎の好発部位であり、しばしば冠動脈瘤などの後遺症を伴う。冠動脈病変をより初期段階で検出することは本疾患の冠動脈後遺症を予防する上で極めて重要であり、そのための有用なバイオマ―カーの発見が強く望まれている。私たちは、iTRAQ法によるヒト冠動脈と大動脈由来の初代培養内皮細胞の比較プロテオミクス解析を行い、いくつかの小胞体関連蛋白質の発現が冠動脈内皮で低いことを見いだした。この結果は、冠動脈内皮細胞の小胞体ストレス感受性や細胞膜糖蛋白質や分泌蛋白質のグライコーム/プロテオームに同細胞を特徴づける差異がある可能性を示唆する。
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