研究課題
本研究では、児童思春期の強迫症において、自閉スペクトラム症の併存の有無による強迫症状、自閉特性および脳機能の差異を健常対照群を置いて明らかにし、さらに認知行動療法前後でのそれらの変化を比較検討することを目的とした。平成30年3月時点で、選択基準に該当する症例は29名であった。治療前のMRI画像撮像で解析できる状態であるものが現在24名、治療後のMRI画像を実施できたのは10名であり、サンプル数が少ないため画像の解析は、解析できる画像データが整ってからおこない、最終報告をすることとした。そのため、治療前後のCY-BOCSスコアを取得できた17名における治療効果をまず検討した。上記17名(男10名、女7名)の平均年齢は13.47(±2.21歳、治療前後のCY-BOCSにt検定を行ったところ、治療前の平均は27.59(±8.05)、治療後平均は15.88(±9.18)であり、t=8.42、df=15、p<0.01、r=0.91と有意に減少していた。このうちASD非併存例8名の治療前後のCY-BOCSは、29.0(±8.19)から15.75(±7.44)へと有意水準1%で有意に減少した(t=7.19、df=6、p<0.01、r=0.95)。ASD併存例9名は26.3(±8.20)から16.0(±10.97)と有意に減少したが、非併存例の変化には及ばなかった(t=4.88、df=7、p<0.01、r=0.88)。これらのことから、認知行動療法は、ASD診断の有無に関わらず、脳画像を用いて検討を行うのに十分な治療効果をもたらしたこと、及びそれにより治療前後の脳画像の変化検討することにより強迫症、自閉スペクトラム症の病態生理の解明に役立てる可能性を確認した。研究体制を整え、今後も研究を続けることにより、遂行する予定である。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
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