研究課題/領域番号 |
26461906
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 和重 東北大学, 大学病院, 講師 (40375043)
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研究分担者 |
藤盛 啓成 東北大学, 大学病院, 准教授 (50238622)
西村 隆一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (90710864)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | calcineurin-inhibitor / 白質脳症 / 中枢神経障害 / ビリルビン |
研究実績の概要 |
肝移植後、免疫抑制剤であるCalcineurin-inhibitor (CNI)に関連した中枢神経障害を発症した症例を臨床検討した結果、移植後早期の遷延する高ビリルビン血症が危険因子として考えられた。これらの臨床結果を動物実験モデルで確証するために、高ビリルビン血症と血中CNI濃度の関係について動物実験で確証することが本研究の主題である。実験初年度はCNIとしてタクロリムス(Tac)を使用した。無処置ラットにおけるTacが脳内に移行開始する血中TAC濃度を検討し、脳内移行するまでのTAC総投与量を算出した。初年度は、ラットに中心静脈ルート確保する予備実験が必要であったが以下の知見を得た。 Tacをラットに以下の用量群(N=5)で持続静注し、0.10mg/kg/day、0.25mg/kg/day群、0.5mg/kg/day、1.0mg/kg/day、1.5mg/kg/dayでは静注後7日目の血中濃度と脳内血中濃度はそれぞれ、血中濃度は7.2±0.5、11.2±1.2、15.5±1.5、30.1±4.2、41.1±7.2 ng/mL、脳内血中濃度は20.2±6.5、43.2±7.9、85.5±14.5、187.16±34.2、221.1±47.5 ng/gであった。剖検までの神経症状の有無、程度についてスコア化(2回/日)し検討する。症状なし(0点)振戦(1-2点)、自傷行為(3-4点)、痙攣(5-6点)、呼吸抑制(7点)として平均値を算出した。0.10mg/kg/day群、0.25mg/kg/day群、0.5mg/kg/day、1.0mg/kg/day、1.5mg/kg/dayでそれぞれ、0点、0点、3.6点、3.9点、5.7点であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットに対する中心静脈ルートの確保するための外科的技術を確立することができ、タクロリムス血中濃度と脳内移行が濃度依存性にあることが明らかになったため、今後の実験結果を明らかにするうえで有用な結果であったと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作成したモデルの血液サンプルを用いて血清生化学検査(総ビリルビン、直接ビリルビン、総蛋白、総コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪、アンモニア等)を生化学自動分析装置(富士ドライケム7000V)にて測定する。 また、以下のモデルを作成し無処置群と比較する。肝炎誘発群(急性・劇症型肝炎ラット)としてエンドトキシン・ガラクトサミンを腹腔内に投与した肝炎モデルラットを用いてTACの脳内移行性について検討する。ガラクトサミンは投与量を1500 mg/kg、1000 mg/kg、500 mg/kgとした3群について検討する。同時にタクロリムスを持続投与する。タクロリムス投与量は実験Ⅰより得られた結果より、TAC濃度(投与量)を低く設定し脳内に移行開始するか検証する。もうひとつの群はビリルビン単独投与群としてビリルビン溶解液(3.2 mg/mL, 0.5 mol/L NaOH, 5% PBS)を持続静注する。投与量は30 mg/kg/day、20 mg/kg/day、10 mg/kg/dayの3群についてはじめに検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費を効率的に使用したため残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の消耗品費(試薬等)に補充する。
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