• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

免疫抑制剤による白質脳症発症に関わるビリルビン・サイトカインの影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26461906
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 和重  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (40375043)

研究分担者 藤盛 啓成  東北大学, 大学病院, 准教授 (50238622)
西村 隆一  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (90710864)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードカルシニューリン阻害剤 / ビリルビン / サイトカイン / 脳内移行 / 脳血液関門
研究実績の概要

免疫抑制剤であるカルシニューリン阻害剤(Calcineurin-inhibitor,CNI)による中枢神経障害を認めた肝移植症例について臨床検討した結果、移植後早期の遷延する高ビリルビン血症、CNI投与量、移植時年齢が危険因子として考えられた。この結果より、CNIによる中枢神経障害発症の機序のひとつとして、高ビリルビン血症あるいはビリルビン上昇に随伴する高サイトカイン血症に伴う血液脳関門機能障害によるCNIの脳内移行が示唆された。動物実験・培養細胞モデルにて、高ビリルビン血症あるいは高サイトカイン血症に伴う血液脳関門の破綻に伴うCNIの脳内移行性について生物学的研究をおこない、実際の臨床結果を検証することが本研究の主題である。
CNIによる中枢神経障害はCNIの血中濃度に関わらず発症する。その機序はCNIの脳内移行による中枢神経細胞障害と考えられているが、CNIは通常の治療域の血中濃度では脳内に移行しない。本研究では臨床結果より血清ビリルビン値に着目し、CNIによる中枢神経障害の機序のひとつとして、動物実験モデルで血清ビリルビン値の上昇に伴った高サイトカイン血症の状態では低濃度CNIが脳内に移行しやすくなることを生物学的に明らかにする点で独創的であると考えられる。本研究にてCNIの中枢神経障害の機序のひとつを明らかにすることにより、肝移植をふくめた臓器移植後、高ビリルビン血症を伴う高サイトカイン血症が遷延する場合、学童期症例ではCNI投与を一時休薬し、代替免疫抑制剤(抗CD25抗体、mTOR阻害剤等)を用いて免疫抑制療法をおこなうことにより、CNIによる白質脳症による中枢神経障害の発症を回避できる可能性が期待され、移植後のQOLを高めることが可能になる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

4-5週齢Winster ラットをもちいて以下の実験を行った。吸入麻酔下にて内頸静脈よりシリコンチューブを留置しハーネスで固定し静注ラインとして使用し飼育する。実験動物に痙攣を伴う呼吸抑制を認めた場合、エンドポイントとして安楽死させた。
実験1)正常ビリルビン群では無処置ラットにおいてタクロリムス(TAC)が脳内に移行開始する血中TAC濃度、投与量についてTAC総投与量を算出した。
実験2)混合型高ビリルビン群ではガラクトサミンを腹腔内に投与した急性肝不全モデルラットを用いてTACが脳内に移行開始する血中TAC濃度、投与量についてTAC総投与量を算出した。ガラクトサミンは投与量を1500mg/kg、1000mg/kg、500mg/kgとした3群間を設定した。実験3)間接型高ビリルビン群ではビリルビン溶解液(3.2 mg/mL)を持続静注したラットを用いてTACが脳内に移行開始する血中TAC濃度、投与量についてTAC総投与量を算出した。ビリルビン溶解液は投与量を30mg/kg、20mg/kg、10mg/kgとした3群間を設定した。

今後の研究の推進方策

ガラクトサミン誘発性急性肝不全モデルラットにおいてタクロリムスの脳内移行性と血中直接ビリルビン値との関連が認められたことから、さらに例数を多く検証することより相互関係について検討する。Cecchelli らの方法(Advanced Drug Delivery Reviews,36:165,1999)を参照し、セルカルチャーインサートのメンブレン上に脳微小血管内皮細胞(Human cerebromicrovascular endothelial cell)の単層膜を形成し、in vitro 血液脳関門実験モデルを構築する方法を用いる。実験Ⅱ、ⅢでCNIの脳内移行に関与したビリルビン、サイトカインの影響について、培養液に精製ビリルビンあるいはサイトカインを単独、複数の混合で添加し経上皮電気抵抗(TEER)値を測定しタイトジャンクションの低下について定量化する(図1)。TEERは脳微小血管内皮細胞の間のタイトジャンクションを透過するイオンによって決定され、in vivoでの血液脳関門の破綻を反映するとされている(Brain Research,241:49,1982)。さらに経時的細胞培養をおこないセルカルチャーのアウター、インナーの培養液のCNI濃度を測定しCNIの透過係数を算出する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Late onset of progressive speech impairment due to tacrolimus-associated leukoencephalopathy after kidney transplantation.2016

    • 著者名/発表者名
      Sato K
    • 雑誌名

      Int urol Nephrol

      巻: Jun 14 ページ: Epub

    • DOI

      10.1007/s11255-015-1026-9

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi