本研究では、血小板が癌の浸潤や転移を促進する癌微小環境の一因であることに着目し、乳癌における血小板の存在、上皮間葉転換(EMT)や化学療法の効果との関連を検討した。術前化学療法を行った原発性乳癌の生検標本を用いて免疫組織化学検査にて、検討した結果、血小板(CD42b発現)は59%に認め、腫瘍浸潤先進部や血管周辺の腫瘍細胞周囲に多く観察され、EMT様形態変化を認めた。またCD42b陽性例は、病理学的完全奏功(pCR)との間にも有意な相関を認めた。 以上より、乳癌における癌細胞周囲の血管外血小板の存在とEMTとの関連性が明らかとなり、癌治療のターゲットとして臨床応用が期待される研究となった。
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