研究課題/領域番号 |
26462005
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80571942)
|
研究分担者 |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00376443)
山口 博紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20376445)
津野 寛和 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282637)
須並 英二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70345205)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | CPT-11 / 大腸癌 / 化学放射線療法 |
研究実績の概要 |
CPT-11は投与されると速やかにSN-38に代謝され抗腫瘍効果を発揮する。我々はHypoxiaにおける癌の抗癌剤耐性のメカニズムを解明するため、大腸癌に対する代表的な抗癌剤である5-FU、Oxaliplatin、及びSN-38の作用がhypoxiaによりどう影響を受けるかを検討した。その結果、5-FU・Oxaliplatinの抗腫瘍効果は従来の報告通りhypoxiaにおいて大きく減弱したが、SN-38はhypoxiaの影響をほとんど受けないことを見いだした。さらにそのメカニズムとしてhypoxiaにより誘導されたHIF-1αをSN-38が抑制することを解明した。 また我々はこれまで下部進行直腸癌に対する術前化学放射線療法に対しCPT-11を増感剤として加えた臨床試験を施行し、CPT-11が局所の制御効果を大きく増強することを確認した。この結果から、化学放射線療法においてもCPT-11がHIF-1αを抑制することにより放射線の治療効果を増強している可能性が高いと考え、これに対する検証を行っている。具体的には大腸癌Cell line(HT-29、WiDr)に対し放射線照射を行い、これによる細胞増殖への影響、アポトーシスの誘導、Cell cycle arrestの誘導の検討をMTSアッセイ・Flow-cytometryアッセイを用いて行った。さらに大腸癌細胞株に対する放射線照射がHIF-1αの発現を誘導しうるかを照射量・照射後の時間経過等を変化させ、検討を施行した。検討の方法としてWestern blotによる方法とFlow-cytometryによる方法を検討し、それぞれの検出感度や特異性につき検討を施行している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大腸癌Cell line(HT-29、WiDr)に対し放射線照射を行い、これによる細胞増殖への影響、アポトーシスの誘導、Cell cycle arrestの誘導の検討をMTSアッセイ・Flow-cytometryアッセイを用いて施行した。さらに大腸癌細胞株に対する放射線照射がHIF-1αの発現を誘導しうるかを照射量・照射後の時間経過等を変化させ、検討を施行した。検討の方法としてWestern blotによる方法とFlow-cytometryによる方法を検討し、それぞれの検出感度や特異性につき検討を施行している。しかし手技が安定せず、予期した結果が得られる場合と得られない場合が存在し、これを検証する実験を繰り返しているため、達成がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
実験を繰り返すことにより徐々に手技が安定し、実験結果の再現性が得られるようになりつつある。最も効果的にHIF-1αの増強が得られる放射線の照射量、照射後の経過時間を明らかにし、この条件下の大腸癌細胞株にSN-38を加え、HIF-1αの発現量の変化を検証する。Vitroでの検証が終了の後は、マウス皮下腫瘍モデルを用いてVivoでの検証に移る。具体的にはCPT-11の有無による腫瘍縮小効果の差を検討すると共に、照射後の腫瘍を切除しFlow - cytometryやWestern blottingを用いてvivoでのHIF-1α他の種々の蛋白の発現を比較検討する。さらにこれまでに施行した術前化学放射線療法を施行した外科的切除検体につき、化学療法としてCPT-11を加えた群と加えない群に分け、HIF-1αの免疫染色を施行する。これにより実際の臨床検体においてもCPT-11がHIF-1αの抑制効果を有するか否かを検証する。
|