切除不能症例の予後の悪化や根治術後の高頻度な再発が深刻な問題となっている肝細胞癌の治療においては、新たな化学療法の確立が求められている。本研究では、肝細胞癌細胞に発現するc-Metに着目し、その活性化の阻害が肝細胞癌の増殖や浸潤などに及ぼす効果を検討した。C-Met阻害剤SU11274は、肝細胞癌細胞の増殖及び浸潤をin vitroで阻害する効果を有した。C-Met阻害剤SU11274を作用させた肝細胞癌細胞は、e-cadherinの発現上昇を介して接着性を増強させることを見出した。以上の結果から、c-Metは肝細胞癌に対する化学療法剤開発の標的として有用であると示唆される。
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