研究実績の概要 |
microRNA-21(miR-21)は様々な癌で発現が亢進しており、癌細胞の生存維持、アポトーシスの抑制に関与している。そこで、miR-21の生存維持作用が脳虚血時の脳保護に働き、脳梗塞の治療薬になるのではないかと考え、計画を立案した。 マウスを麻酔させた後、一側の頸動脈よりinterluminal suture 法で一過性の中大脳動脈の閉塞(MCAO)を起こし、その後ラットの脳を摘出し、正中で離断。正常脳と閉塞(MCAO)脳のそれぞれを採取した。閉塞時間は30分、2時間との2つのタイムポイントを設けた。その後、RNAを抽出して、reverse transcriptを行い、real-time PCRにてmiR-21の発現を解析した。30分閉塞ではコントロールに比べてMCAO脳ではmiR-21の発現は有意な差を認めなかった(正常脳1.00に対してMCAO脳0.99±0.019倍)が、120分のMCAO脳ではコントロール1.00に比較して1.28±0.004倍にmiR-21の発現が増加していた。同様の脳を用いて、メタボローム解析を行うと、MCAO2時間後の脳ではGABA, Alanine, Ethanolamine, Glycerol, Citrate, Uracilの濃度が上昇し、逆にGlutamate、Aspartate、Glucoseの量が低下していた。 miR-21の導入を試みたが、十分な導入は認められず、miR-21 inhibitorを培養細胞に導入し、アポトーシス等を解析しtたところ、miR-21でアポトーシスが誘導された。
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