研究課題
最終年度は前年度から引き続いているヒト前立腺生検組織における免疫学的検討と、アクネ菌感染によるマウス前立腺発癌モデルの検討を行った。ヒト前立腺組織における解析では、癌群44症例、対照群36症例を対象とし、アクネ菌陽性腺管率は対照群と比較して癌群で有意に高値であった(Mann-Whitney test p<0.001)。本法を用いた癌検出の感度は46%で特異度は93%であった。また、解析に用いた症例における血中PSA値については感度56%、特異度63%であった。生検組織におけるアクネ菌の免疫組織学的検出法は血中PSA値の測定と併用することにより前立腺癌の診断において有用であることを示唆するものであった。この結果を基に論文投稿し受理された。“Frequency of Propionibacterium acnes Infection in Prostate Glands with Negative Biopsy Results Is an Independent Risk Factor for Prostate Cancer in Patients with Increased Serum PSA Titers” (PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0169984 January 12, 2017)。マウスを用いた検討では、麻酔下にて経尿道的カテーテル法でマウス前立腺にアクネ菌(ヒト前立腺分離株)を感染させた。結果、ヒト前立腺と同様のアクネ菌がマウス前立腺上皮に免疫組織学的に検出され、アクネ菌陽性腺管では炎症反応およびNF-κBやSTAT3の活性化が認められた。これらの活性化は現時点まで(感染3ヶ月)で維持されており、今後更なる長期的な感染実験により発癌およびそのメカニズムの解明が期待されるものである。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLOS ONE
巻: 12 (1) ページ: 1-16
10.1371/journal.pone.0169984