研究課題
皮下腫瘍モデルを用いたニコチン投与下におけるPI3K-Akt-mTOR阻害による抗腫瘍効果の検証を行った。マウスを無治療群、ニコチン単独投与群(1 mg/kgのニコチンを週3回投与)、NVP-BEZ235単独投与群(40 mg/kgのNVP-BEZ235を連日経口投与)、ニコチンおよびNVP-BEZ235併用投与群の4群に分けて検討した。検討した4群(無治療群、ニコチン単独投与群、NVP-BEZ235単独投与群、ニコチンおよびNVP-BEZ235投与群の21日目の平均腫瘍径はそれぞれ、470 mm3、930 mm3、282 mm3、295 mm3であった。免疫染色解析において腫瘍内のpS6の発現は無治療群と比較しニコチン投与群で有意に高く、NVP-BEZ235単独投与群、ニコチンおよびNVP-BEZ235投与群において有意に低かった。次いでニコチン暴露膀胱癌細胞に対するシスプラチン及びPI3K-Akt-mTOR阻害による殺細胞傷害併用効果の検証を行った。シスプラチン単独投与群、NVP-BEZ235単独投与群、シスプラチン及びNVP-BEZ235投与群の細胞数はニコチン単独コントロール群の細胞を100%とすると、それぞれ58%、45%、11%であり、シスプラチンにNVP-BEZ235を併用することにより有意な殺細胞傷害効果が確認された。またシスプラチン投与によりpAkt、pS6蛋白の発現は増加し、NVP-BEZ235はこれらの発現を強く抑制した。最後に同所性膀胱腫瘍モデルを用いたPI3K-Akt-mTOR阻害による抗腫瘍効果の検証を行った。NVP-BEZ235膀胱内注入群の平均膀胱重量は72.8 mgでコントロール群の207 mgと比較して有意な低下を認めた。免疫染色の検討においてNVP-BEZ235膀胱内注入群ではpAkt、pS6、p4EBP1の発現が有意に抑制されていた。
すべて 2016
すべて 学会発表 (1件)