小児の深頸部膿瘍は成人と比較して頻度は稀であり、病態は不明な点も多く、両者を詳細に比較検討した報告は渉猟しえない。そこで深頸部膿瘍の病態、原因菌、手術アプローチを検討し、小児例(15例)を成人108例と比較した。その結果、病因・膿瘍の頸部での進展度・原因菌の点からも成人例とは違いがあることが示唆された。また、糖尿病を有することで、頸部膿瘍の進展範囲が広範囲になるリスク比が約2倍になった。 上記の他、培養結果で菌の同定が困難な難治症例に対して分子生物学的検索を行い、種々の嫌気性菌、並びに中耳の感染症としては特異的な菌を同定した。
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