研究実績の概要 |
子供の近視進行の原因は、主に眼軸長の伸展である。本研究の目的は、子供の近視における0.01%アトロピン点眼薬とオルソケラトロジーの併用による眼軸長伸展抑制の相加効果について調査することである。 こんの眼科および大宮はまだ眼科におけるオルソケラトロジー新規希望者のうち、①8~12才の男女、②等価球面屈折度数-1.00~-6.00D、③乱視度数1.50D以下、④不同視1.50D以下、⑤矯正視力1.0以上を選択基準とし、オルソケラトロジー・0.01%アトロピン点眼薬併用群(併用群)40例、オルソケラトロジー単独群(単独群)40例、合計80例を目標症例数として参加者を募集した。 眼軸長は角膜形状の平坦化を考慮してオルソケラトロジー開始3ヶ月後の測定値を基準値とし、この時点で年齢と等価球面屈折度数の偏りを防止する目的で層別無作為化の手法を用いて、対象を各群へ無作為に割り付けた。そのため、併用群はオルソケラトロジー開始3ヶ月後から0.01%アトロピン点眼薬を開始した。以後3ヶ月毎に2年間、経時的に眼軸長を測定した。 2018年4月30日現在、併用群43例、単独群37例、合計80例が登録され、併用群1例、単独群2例が途中脱落した。1年間の眼軸長増加量は併用群0.13±0.13mm(n=42)、単独群0.21±0.13mm(n=35)で有意差を認めた(P=0.0125, unpaired t test)。2年間の眼軸長増加量は併用群0.33±0.19mm(n=26)、単独群0.39±0.25mm(n=25)で有意差を認めなかった(P=0.389)が、等価球面屈折度数-1.00~-3.00Dの亜群に限っては、併用群0.34±0.21mm(n=18)、単独群0.52±0.23mm(n=14)で有意差を認めた(P=0.0373)。 全登録症例が2年間の検査を完了するのは、2019年4月の予定である。
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