研究実績の概要 |
重症心身障がい児(重症児)にみられる胃食道逆流(GER)の病態を解明するために、経鼻胃管栄養中重症児26例(1-17歳、中央値6歳)を対象として食道インピーダンスpHモニタリング(MII-pH)による後方視的検討を行った。 酸逆流率(RI)5.7 (0-35.7) %、MII総逆流回数49(2-159)回で、RI>5%ないしは回数>70は13例(異常GER)であったが、回数>70の3例はすべてRI>5%であった。acidとnon-acid のGERの時間率[0.75(0.0-4.2)% vs. 0.5(0.0-3.2)%, p=0.14]と回数[23(0-104) vs. 22(1-55), p=0.60]は同程度であった。異常GER群[RI12.9(6.7-35.7)%]と正常群[RI1.4(0-4.7)%]におけるacidとnon-acid GERの比較では、異常群でacid GERの時間率が有意に高く[1.2(0.3-4.2)% vs 0.5(0-2.7)% p=0.02]、回数[38(13-104) vs 25(2-55) p=0.09]も多い傾向を示した。正常群ではacidとnon-acid GERに有意差を認めなかった。異常群ではchemical clearanceは有意に延長し[194(46-507) 秒 vs. 56(0-313)秒 p=0.004]、bolus clearanceは有意差がなかった[16(11-24)秒 vs. 20(13-45)秒, p=0.13]。異常群は正常群よりacid GERの回数、時間率、proximal extentは有意に高かったが、non-acid GERは有意差を示さなかった。 重症児全体でみると酸性と非酸性GERがほぼ同程度みられたが、異常GERを示す児では正常GERの児に比べて酸性GERが有意に増加していると考えられた。
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