本研究は、日本では医療目的としても使用禁止であるカンナビノイド系薬物に代わり、医薬品として使用可能な内因性カンナビノイド分解阻害剤を用いて、脳内の内因性カンナビノイド量を増加させることにより、嚥下反射の促進効果を調べた。内因性カンナビノイド(2-AG)の延髄へのIT投与は上喉頭神経の電気刺激による嚥下誘発を促進させた。MAGL(2-AG分解酵素)抗体を用いた免疫組織学的解析は、内因性カンナビノイド分解阻害剤(JZL184)の投与後、嚥下中枢においてMAGLの産生の減少を示した。これらの結果は、JZL184の投与により増加した2-AGが嚥下反射の亢進に関与していると考えられる。
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