本研究は、単結晶ナノチューブアパタイトの作製と生体材料への応用を目的とした。実験には湿式のアパタイト合成装置を用いた。リン酸アンモニウムを加温してアンモニア溶液でpHを調整後、酢酸カルシウムを滴下した。また、合成実験後半に結晶性を高めるため、溶液中にフッ化水素を添加した。合成された結晶中央にナノスペースの孔を空けるため、乳酸に浸漬した。 浸漬後の結晶を透過電子顕微鏡で観察すると、中央に孔の空いた棒状のアパタイトが多数観察された。結晶のc軸断面は六角形で、結晶中央には尖孔像が観察された。ラットの抜歯窩にこのアパタイトを埋入したが、治癒の促進等はみられなかった。
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