腫瘍で舌を切除した場合、その切除範囲が大きければ、術後に咀嚼・嚥下・構音などの口腔機能に著しい障害をひき起こす。それを補う方法として、各種皮弁や舌接触補助装置の使用などが行われているが、術直後のリハビリテーションで嚥下機能の回復が得られたとしても、咀嚼や構音などに問題が残ったり、術後長期間経過するうちに移植した組織が萎縮し、再び嚥下が困難になったりすることが多い。 そこで我々は、舌を一臓器と考え、イヌを用いて舌切除後に神経付きの他家移植を行い、その予後について検討した。しかし実際に移植を行うと術翌日から浮腫が強く出現し、移植舌が壊死したり個体が死亡したりして1匹しか生着が確認できなかった。
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