矯正治療の際に起こる歯根吸収は解決すべき重要な課題である。本研究では、矯正的歯の移動時におけるアレルギー誘導性の歯根吸収に対する抗炎症性脂質メディエーターの抑制効果を検討した。 アレルギー疾患モデルラットに対して矯正的歯の移動を行ったところ、抗炎症性脂質メディエーターLipoxin A4投与群では、非投与群より歯の移動量が抑制され、歯根吸収量および破骨細胞数が減少した。さらに、歯の移動局所の歯槽骨中のRANKLおよび炎症性サイトカイン、IFN-γの発現量が抑制された。 これらの結果、抗炎症性脂質メディエーターの投与が、矯正的歯の移動時に生じる歯根吸収への治療方法となる可能性が示された。
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