研究課題/領域番号 |
26463213
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
林 弘之 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80121028)
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研究分担者 |
金村 尚彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (20379895)
武田 美津代 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90279852)
成瀬 秀夫 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (40563416)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / VEGF / 3型コラーゲン / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
昨年度、ICR系マウスを用い基本的な創傷治癒過程の検索を行ったので、本年度は糖尿病マウスを用い昨年と同様な手法を用い検索した。 【方法】実験動物は糖尿病マウスKK-Ay/TaJcl雄マウス11匹を用いた。創傷作製後、3,5,7,10日後(各2~3匹)の組織学的ならびに組織化学的な検索を行った。①創傷作製:マウスを麻酔後、背部皮膚に3mmの生検パンチにて創傷を作製した。創傷部はテガダームフィルムにて被覆した後、ハイラテックスにて固定した。②組織化学的検索:動物を屠殺後、創傷部を皮下組織とともに切り出し、10%中性緩衝ホルマリンにて固定後、常法に従いパラフィン包埋した。5μmの切片を作製後、VanGieson染色、Masson染色をおこなった。③免疫組織化学的検索:5μmのパラフィン切片に対し、血管新生因子である抗-VEGF(vascular endothelial growth factor)抗体と、抗-コラーゲンタイプIII抗体を用いDABにて発色させ、検鏡した。 【結果】糖尿病マウスでは受傷後5日で創部の組織は血漿由来の線維成分や白血球の浸潤が認められ、新生血管は認めらなかった。受傷後7日で上皮直下に多数のVEGF陽性細胞が確認され、血管新生が行われていることが示された。血管新生に伴い肉芽形成の開始が認められ、創部の再生が進行した。また、Ⅲ型コラーゲンの形成は一般の創傷治癒より遅い受傷後7日頃より観察することが出来た。 【考察】糖尿病マウスでは正常マウスに比べ血管新生の遅延が観察された。また、コラーゲン形成の遅延も認められた。これは糖尿病による創部の新生血管の形成が遅れることにより、血行不良によりコラーゲンを産生する線維芽細胞の遊走などが妨げられ、Ⅲ型コラーゲンの形成が遅れるために、創傷治癒の遅れを引き起こす一因になるものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度行ったICR系マウスの正常例と比較し、糖尿病の治癒過程の遅延を形態学的に確認することが出来た。今後これらを精査する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、これまでの特に免疫組織化学的結果の妥当性を検討するとともに、新生血管が機能血管であるかどうかの判定も加えて研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者にて研究を遂行、データ整理、データ解析を行ったため、外部の補助を必要としなかったため謝金の支払いがなかった。また、旅費も所属機関の旅費予算でまかなえたため支出の必要がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に繰り入れて使用予定。
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