我々は糖尿病における創傷治癒遅延の原因について形態学的に検索した。実験には糖尿病雄マウスを用い、血管新生、血流開始時期、Ⅲ型コラーゲンの形成について免疫組織学的に検討した。 その結果、糖尿病における創傷治癒過程での血管新生は正常のものよりも2~3日遅延が観察された。新生血管に血流が認められるのはさらにその1~2日後であった。Ⅲ型コラーゲンの形成は血流開始と一致して認められた。これらのことより、糖尿病マウスにおける創傷治癒の遅延の原因は血管新生の遅れと、血流開始の遅れにより、創部に必要な栄養供給ができないことがその原因の一つであることが推察された。
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