心不全患者がより良い病状を維持するためには、患者自身の病気への関心と留意事項の遵守が非常に重要であると考えられる。心不全はその病状悪化による再入院が非常に多く、再入院を予防して可能な限りその人らしい生活を維持できるようにするためには、病状の変化や日々の体調を自ら把握するとともに、病状の悪化を防ぐ、もしくはその兆候を早期発見する日常生活行動を継続することが必要である。 その健康管理の過程においては、自らの病状や健康管理状況を把握するセルフモニタリングが非常に有効であると考えられる。本研究では先行研究で信頼性と妥当性を検証した「心不全患者のセルフモニタリング評価尺度」(Evaluation Scale for Self-Monitoring by patients with Heart Failure)の簡易版の作成をめざし、その質問項目の分析的検討を行った。 その結果、ESSMHFの初版では、先行研究で明確化したセルフモニタリングの概念に基づき「認識」と「測定」を21項目で測定し、「解釈」の側面を16項目で測定していたが、すべての側面を14項目で測定可能であると確認した。この新しく14項目で構成された短縮版は、患者の調査への負担を減らすとともに、セルフモニタリングの実践状況を把握する上で最低限必要なことを看護師が速やかに把握するため、高い有用性があると考えられる。今回のプロジェクトでは、短縮版の質問項目の内容妥当性は検証できたが、実際の患者への利用可能性の検証は途上であるため、今後の課題である。
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