研究課題/領域番号 |
26463461
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研究機関 | 神戸市看護大学 |
研究代表者 |
清水 昌美 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (30404891)
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研究分担者 |
沼本 教子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (00198558)
小池 香織 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (60710803)
坪井 桂子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (80335588)
秋定 真有 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (20738546)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臨床倫理 / 高齢者ケア施設 / 教育方法の開発 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢者ケアにおける倫理的な能力を育成するために、高齢者ケア施設と大学との共同による教育プログラムの作成を試み、看護基礎教育および高齢者ケア施設の職員教育に活用することを目的としている。 平成26年度は、以下2つの方法を用い、教育プログラムの基礎資料を作成した。 方法1:実習施設における倫理的課題に関する事例検討。先行研究として平成25年度に神戸市看護大学共同研究費(臨床)の助成を受けて取り組んだ、高齢者ケア施設の実習指導者と共同研究者との事例検討会を継続実施した。また、事例検討会での討議内容から倫理的ケアを実践するための要素を抽出した。抽出された要素は、[看護師として求められる態度・能力]、[倫理的ケアの実践方法]、[教育的支援の方法]、[教育的支援を行う基盤づくり]という4つの側面に分類された。 方法2:看護倫理学テキストを用いた看護倫理に適った実践力の抽出。基礎教育用の看護倫理学テキストから最新かつ内容が最も充実していると判断したテキスト1冊を対象とし、看護倫理に適った実践に関する記述の原文を意味単位ごとに抽出し、類似性に基づき分類した。その結果、倫理に適った実践に関する項目として、121の記述から、10の大分類に整理された。 事例を検討することで、多角的な視点から具体的な要素が挙げられた。このことは、倫理という抽象的な概念を、施設の現状に沿った身近にある観点から捉え、実践に活用できる教育方法を導く上で前提となると考える。また、教育支援体制の強化には、実習を受ける側と依頼する側という立場の違いを明確にすることも重要と考えられた。方法2で抽出した実践能力には、日常的に修得可能な内容と意図的に教育が必要な内容があり、修得レベルに応じた教育内容や方法を吟味する必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、教育プログラムの試案を作成するところまでを目標としていたが、試案の基礎資料を作成するにとどまった。予定通り推進できなかった理由として、学内の事情により、当初予定していなかった講義を受け持つなどの業務が発生し、本研究にかける時間が十分に確保できなかったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成25年度の先行研究および平成26年度の研究実績について、日本老年看護学会第20回学術集会および日本看護学教育学会第25回学術集会にて成果発表を行い、教育プログラムの要素の洗練化やプログラムの構成等に関する知見を得る。 2.これまでに検討した教育プログラムの要素、看護倫理に適った実践力および関連文献、看護学実習での実践状況を基に、教育プログラムの試案を作成する。年度前半では、学会発表準備と並行して試案の検討をすすめる。年度後半には、試案の一部を看護学実習の指導に取り入れ、検討結果を試案に反映できるようにする。 3.教育プログラム試案の洗練化のためのシンポジウムの開催に向けた調整・準備を行う。シンポジウムは、今年度末~次年度初旬の開催を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
予算は概ね計画的に使用できているが、予定していた学会への参加ができず、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
教育プログラムの洗練化のため、関連資料を収集する。また、定期的に研究および実習協力施設の実習指導者との討議を行う。研究費は、資料収集費(学会参加を含む)、会議費、研究補助費として使用することを予定している。 作成した教育プログラムのさらなる洗練化のため、高齢者ケア施設でのケアスタッフ教育・研究に携わっている施設管理や研究者を招き、シンポジウムの開催を予定している。シンポジストとして、City University LondonのJulienne Meyer氏の招聘を計画している。※シンポジウムは今年度末の開催を目指して予算を確保しているが、現時点でシンポジストとのスケジュール調整が図れていないため、次年度の開催となる可能性もある。
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