研究課題/領域番号 |
26463524
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
高橋 宏子 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (80195859)
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研究分担者 |
中村 昭則 信州大学, 医学部, 特任教授 (10303471)
奥野 ひろみ 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (60305498)
五十嵐 久人 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90381079)
山崎 明美 信州大学, 学術研究院保健学系, 講師 (60299881)
石田 史織 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (20710065)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ALS / コミュニケーション支援 / 専門職別 / 所属別 / 観察視点 / 重要度 / チームケア / 情報交換・共有 |
研究実績の概要 |
平成28年度は平成27年度(2年目)に行った2回のアンケート調査のうち、1回目の調査を取りまとめて、第21回日本難病看護学会で「在宅ALS療養者のコミュニケーション支援におけるチームケアに関する研究-聞き取り調査を用いた量的調査-」として口頭発表を行った。要旨は以下である。ALSのコミュニケーション障害に対しては、病気の進行と共に残存機能を活かした方法や用具等を活用し、意思伝達が可能になるように複数の専門職のチームアプローチによる総合的な支援が重要である。一方で職種の専門性や支援する場が異なることで観察の視点やその重要度に違いが生じ、支援に影響を及ぼすことが考えられる。本研究ではその違いを明らかにし、連携強化に繋がる基礎資料とすることを目的とし、まず専門職にインタビュー調査を行い、それを元にアンケート調査を行った。その結果、病院に所属する専門職である病院群と在宅で活動する在宅群別では重要視する項目が異なり、在宅群の方がコミュニケーションに関わる身体の動きのみならず、その他の身体状態や本人に関する項目、介護者家族に関する項目など、多くの情報を重要視していた。医師、病棟看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、訪問看護師、保健師別において、複数の項目で病棟看護師と他職種との間に有意差が見られた。これらの結果から、専門職間での情報交換・共有、検討がより重要となることを結論付けた。 さらに、平成27年度に行った1回目の調査時に、2回目の調査協力に同意いただいた方を対象に再度アンケート調査を行い、専門職が共通して重要視する項目をデルファイ法にて再度、抽出・整理した。この結果を平成28年度には、専門職間で共通認識できる項目か否か、また『支援者が共有できる可視化されたシート』として実際に活用できるようにするための具体的な内容や方法について、専門職や専門家の意見を参考に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は最終年度であった。平成27年度当初の計画の見直し時には、平成27年度に行う2回のアンケート調査から、①コミュニケーション支援に関わる支援者が、支援する上で重要と考えている観察項目を抽出し、絞り込まれた結果を整理すること、②それをデルファイ法を通して、再度、専門職からの意見により項目や内容を絞り込み、実際活用可能な『支援者が共有できる可視化されたシート』を作成すること、③さらにそのシートを研究分担者が運営管理しているipadによる電子チームケアクラウドにて運用できるように、その既存の電子チームクラウドを扱っている業者にソフト開発を委託すること、④運用を開始する、としていた。しかし本研究の研究期間と並行して、研究者の所属する機関で採択された他事業にも携わることになり、業務が重なることで、本研究を計画通りに行うことができず、③④には至らなかった。加えて、②の『支援者が共有できる可視化されたシート』を作成する上においては、複数の専門家からの意見、アドバイスにより精査する過程を踏むことが重要であると考え、1年間の期間延長申請を行うに至った。
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今後の研究の推進方策 |
ALS療養者のコミュニケーション支援に関わる『支援者が共有できる可視化されたシート』開発に向けて、複数の専門家からのアドバイスを参考に最終的に完成させる。そのシートを研究分担者が運営管理しているipadによる電子チームケアクラウドにて運用できるように、その既存の電子チームクラウドを扱っている業者にソフト開発を委託し、微調整を行いながら、運用開始に向けて詰めていく計画である。さらに運用開始、支援者が活用するにあたっては、研究計画書を作成、倫理審査会の承認を得て行う。 また平成28年に第21回日本難病看護学会において「在宅ALS療養者のコミュニケーション支援におけるチームケアに関する研究-聞き取り調査を用いた量的調査-」として口頭発表を行った内容を論文化して、学会誌に投稿予定である。また、そのアンケート調査時で得られた自由記載の内容を整理、分析したものを、第22回日本難病看護学会にて「コミュニケーションに障害があるALS療養者に対する病棟看護師、訪問看護師、保健師別の支援上の思い」として口頭発表を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度初めの計画においては、平成27年度に行った2回のアンケート調査から、①コミュニケーション支援に関わる支援者が支援する上で重要と考えている観察項目を抽出し、絞り込まれた結果を整理すること、②それを再度、専門職からの意見を参考に、項目や内容を絞り込み、実際活用可能な『支援者が共有できる可視化されたシート』を作成すること、③さらにそのシートを研究分担者が運営管理しているipadによる電子チームケアクラウドにて運用できるように、その既存の電子チームクラウドを扱っている業者にソフト開発を委託すること、④運用を開始する、としていた。しかし、本研究の研究期間と並行して、研究者が所属する機関で採択された他事業にも携わることになり、業務が重なることで、本研究を計画通りに行うことができず③④には至っていない。よって③の業者によるソフト開発費、及び④に係る経費が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
期間延長を行った最終年度には、上記の『支援者が共有できる可視化されたシート』を完成させ、さらにそのシートを研究分担者が運営管理しているipadによる電子チームケアクラウドにて運用できるように、その既存の電子チームクラウドを扱っている業者にソフト開発を委託する。そのためにかかる費用を計上する。またipadによる電子チームクラウドに参加するための通信費が昨年度同様に必要になる。また運用を開始にあたっての研究協力をしていただいている専門家や専門職との勉強会の開催、講師等への謝礼等の予算を計上する。また運用に当たって、新たに参加可能な療養者やその支援者が使用するipadの購入、通信費も予算の中に含めておきたい。さらに、29年度予定している学会発表のための交通費等、論文投稿にかかる費用等を計上する。
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