研究課題/領域番号 |
26463566
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
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研究分担者 |
村田 節子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (00239526)
山下 清香 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (40382428)
檪 直美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (80331883)
松尾 和枝 福岡女学院看護大学, 看護学部, 教授 (90190404)
岡田 麻里 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (90534800)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域 / 在宅医療 / セルフマネジメント / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
終末期がん療養者を介護した配偶者の満足な在宅看取り実現のためのセルフマネジメントプロセスを明らかにした.方法として修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づく継続的比較分析法を用いて行った.研究協力者は,終末期がん療養者を在宅で看取った配偶者8名であった.これまでの結果としてセルフマネジメントプロセスは,3つのプロセス≪セルフマネジメントを発揮するための前提≫,≪終末期がん療養者の在宅看取りをした配偶者のセルフマネジメント≫,≪看取り後の成長≫と8つのカテゴリから構成された.セルフマネジメント発揮の前提として【療養者の望む生き方を尊重できる夫婦関係】を基盤に,【在宅療養にいたる苦渋の決断】していた.そして【訪問看護師の支援の獲得】と【かかりつけ医の支援の獲得】によって,【配偶者として在宅看取りを引き受ける主体的行動】,【在宅看取りに向かう負担感限界範囲の拡大】しながら,セルフマネジメントを発揮し【残された命で療養者の望みを実現】していた.さらに,在宅看取りのセルフマネジメントの結果【遺された者として新たな生き方へ踏み出す】プロセスが明らかになった.尊重できる夫婦関係を基盤に,在宅医や訪問看護師らの支援を獲得しながら,満足な在宅看取りを実現するためには,看取りまでのプロセスを通して配偶者のセルフマネジメントを発揮するための支援が必要であることがわかった.このプロセスに対する妥当性の検証のために多職種によるフォーカスグループインタビューを実施した。さらに、抽出プロセス内容をもとに、地域住民に対する在宅看取りに向けての介護教育を実施するにあたって、地域住民の介護におけるセルフマネジメントについて調査を実施する準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
満足な在宅看取り実現のためのセルフマネジメントプロセスを抽出し論文化を図る段階で時間を要した。しかし、地域住民の介護におけるセルフマネジメントについて意識調査項目作成と論文作成を同時に進行させている。
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今後の研究の推進方策 |
地域住民自らが望む最後の療養場所を選択するために必要な家族介護者のセルフマネジメント支援の教育プログラムを作成する。そのため、地域における「在宅看取り」にむけてのセルフマネジメントについての意識調査を実施する準備を行っている。対象地域は、二市の地域包括支援センターに依頼し、要支援者を対象に質問紙調査を実施する予定である。在宅看取りのためのセルフマネジメントとセルフマネジメントに必要と考える自己認識を測定する指標を用い調査票を作成している。項目の精錬を行い、分析は、探索的因子分析でセルフマネジメント項目をさらに明確にする。そして、属性別(配偶者,兄弟姉妹,その他)のセルフマネジメントの違いを明らかし、支援のための教育方法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に地域における「在宅看取り」にむけてのセルフマネジメントについての意識調査を実施する予定であったが、対象地域の選定や共同研究者間での調査票の最終確認が遅れているため平成28年度に延期になっている。
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次年度使用額の使用計画 |
「在宅看取り」にむけてのセルフマネジメントについての意識調査票作成のための項目精錬のための共同研究者との会議費(旅費・会場費)が必要となる。また、調査票印刷費および対象者への謝礼、郵送費も合わせて必要である。さらに、調査票回収後、調査票項目入力業者委託費が必要となる。調査結果入力後、分析の確認のための会議費(旅費・会場費)および結果の公表のための学会発表(旅費)、報告書作成印刷費を必要とする予定である。著書作成に当たり、共同研究者等や編集者との打ち合わせ旅費および、印刷費を要すると考えている。
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