研究課題/領域番号 |
26500007
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 雅也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40242979)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺癌 / エネルギー代謝 / 安静時エネルギー消費量 / 間接熱量測定 / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
肺癌患者26名について間接熱量測定を施行し、健常人15名と比較した。その結果、stage3、stage4の肺癌患者では安静時エネルギー消費量が健常人に比べて高いことが確認された。また肺癌の進行に伴い呼吸商が低値となり、肺癌患者では脂質の燃焼量が増加していることが確認された。以上のように、肺癌患者ではエネルギー代謝が変化することが明らかとなった。さらに、体重減少や低アルブミン血症などの低栄養状態も癌の進行に伴い顕著となり、栄養状態の悪化にはエネルギー代謝も関連することが確認された。 安静時エネルギー消費量は、血清の炎症性サイトカインIL-6、TNF-αレベルと有意な正の相関が認められた。この結果から、肺癌患者のエネルギー代謝の変化には炎症性サイトカインが関与していることが確認できた。 一方、食欲と関連する液性因子であるグレリン、レプチンはbody mass index(BMI)と有意な関連が示された。すなわち、レクチンはBMIと正の相関が、活性型グレリンはBMIと負の相関があり、これらの食欲関連因子の分泌は体重の変化によって調整されていることが示唆された。しかし、レプチンやグレリンと安静時エネルギー消費量、呼吸商との間には有意な関連は認められなかった。 同様の研究は食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌においても開始している。消化器癌においても、進行癌患者ではエネルギー代謝が変化する傾向が示されており、炎症性サイトカインとの関連について、症例を重ねて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌患者を対象とした研究は目標症例数の80%以上がエントリー出来ており、健常人についても測定は順調に進んでいる。 消化器癌患者のエントリーは目標症例数の半分以下であるが、2年目にはほぼ達成できると見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
肺癌に対する研究については、残り数例のエントリーを得た後に研究結果を解析し、論文化する計画である。 消化器癌患者のエントリーは肺癌患者に遅れて始まったが、2年目には目標症例数に達する見込みであり、肺癌と消化器癌の比較も可能になると考えている。
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